梅本 光江 連載コラム 暮らしを彩るWatashiiro 第4回「夏の漆でおもてなし」

夏の漆でおもてなし


夏休みが始まり、蒸し暑い日がつづく日本の夏。

昔から涼を感じる暮らしの知恵にはさまざまなアイディアがありますが、その一つに“打ち水”があります。これは、外の気温が高くなる前の朝や夕方に水を撒くことを言い、太陽の日差しがジリジリと強くなっても、足元の水をたっぷり吸ったお庭や玄関先が、訪れる誰をもさわやかで涼しい気分にしてくれます。そう、五感にやさしいおもてなしのひとつです。朝夕の庭先でのチョッとしたお掃除と同じで、気持ちもどことなく引き締まる感じがするのは言い過ぎではないような気がします。 そこで、夏の気のきいたおもてなしとして、もう一つ素敵なアイディアをご紹介!
たとえば漆の器、昔からハレの日に使うことが多かったお重箱や文箱、菓子入れやお皿。一年を通してみても、夏の季節以外に使われることの方が多いイメージです。そんな漆を楽しく使ってみませんか?

暮らしを彩るWatashiiro
平らなお盆やトレイなどの器には色々なチーズやフルーツを盛り付けて、少し深めの大きなものには氷を入れて日本酒やワインを。それぞれ楽しいパーティーにも使えます。蕎麦猪口みたいな一人用の器にはアイスクリームやゼリーを入れたり、銘々皿のようなものは、和菓子ではなくあえて洋菓子などのケーキをのせても楽しい演出に。同じようにお重箱には冷やしたスイカをいれるととてもお洒落。
漆は、中に入れた熱いものや冷たいものの温度をじかに伝えることが少ないため、手に取りやすい優れものです。日本古来の模様や蒔絵などが施されているものも多く、自然界の植物ととても相性が良く、そのおかげか五感にやさしい器なのです。
そして、それぞれもう少しだけ華やかにしたいときには、チーズの下に緑の葉を敷いたりハーブをそえて。また、アイスクリームにはエディブルフラワーと言われる食用のかわいらしいお花を。ワインクーラーに使用するときには思い切って薔薇や紫陽花、枝ものを使ってダイナミックに!いかがでしょう、楽しそうなおもてなしだと思います。
器の扱いが面倒な気がして……、と敬遠されがちですが、漆は軽さもうれしいポイントです。どこのご家庭にも探すと一つは出てきそうな漆の器、この夏思い切って使ってみてください。もしかすると……誰かお友達をお呼びして素敵な時間を過したくなるかもしれません。

サロン・ド・テーブルUmemoto 代表 梅本 光江
監修
サロン・ド・テーブルUmemoto
代表 

梅本 光江

学生の頃から花の美しさに魅せられ華道を学ぶ。
その後、ヨーロッパのフラワーアレンジメントやテーブルコーディネートに関心を持つようになり、インストラクターを取得。
現在、札幌で唯一のお花・お料理・テーブルセッティングを中心としたおもてなしとマナー教室、そしてプリザーブドフラワーの教室を開講。その他、ギフトやウエディングブーケ、ディスプレイなども手がけている。