八巻滋倶(やまきしげみ) 特別連載コラム 予防医学のすすめ〜今私たちができること〜 食養

食養


食事は毎日の楽しみのひとつですね。家族団らんのお袋の味。仲の良い友達とお酒も飲んでわいわいしながら食べる食事。楽しいことです。
でも、時間がきたから、おなかが空いたから、適当におなかに押し込む……こんな食事をしてしまうこともあります。
今回は食について考えてみたいと思います。
自分の手のひらを見つめてみて下さい。この手は、自分が食べたものの変わり身です。良い体を作りたければ、良い食べ物をいただく。良くないものを適当に食べたときは、そういう体になってしまいます。
「食養」とは食から健康な体を養うと言う考えや教えです。
体にどんなものが必要なのか自然が教えてくれています。自然界のリズムや法則に則って食べるものを選べば良いのです。

@ 人の歯から食べ物を考える
私たちの「歯」はどんな形をしているでしょうか。スコップのような前歯(切歯)、ライオンやトラのような尖った歯(犬歯)、馬や牛のような臼状の歯(臼歯)色々な形をして、食べ物によって使い分けられるようになっています。歯全体から見ても、食べものをすりつぶす役目の臼歯が多くなっています。そう考えると、人間は肉食より野菜や穀物を多く食べられるような歯になっていると言うことです。
肉が強靭な体を作って、野菜や穀物は強靭な体にはならないようなイメージですが、馬や牛を考えてみて下さい。「馬力」と言う言葉があるように、牧草や穀物だけであのしなやかな力のある体が出来上がっています。

A 食べ物の採れる土地、時期を考える

自然が教えてくれている食べ物の選び方のもうひとつの考え方は、自分の住んでいる土地で出来き、採れる食べ物、季節のものを食べることです。今の時代、夏の野菜が年中スーパーに置いてあり、季節がわからなくなってしまっていますが、地物で季節の旬の物を食べてみると、おいしいしエネルギーがあります。エネルギーを感じる食べ物を食べたとき、不思議ですが、心が満たされ体の奥底から力が湧いてくるのがわかります。

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B 食べ物の全体を食べる
マグロのお刺身と頭から食べられるシシャモ。体にとってどちらが栄養があり体に有効に使われるでしょうか。頭も、皮も、骨も、内臓も全部一緒に食べられることが、体に取り入れられたときにあらゆる仕事をしてくれます。皮は皮を、骨は骨を、内臓は内臓を作ってくれます。
お米も、白米より玄米が良いと言われています。お米全体を食べることが食べ物の全ての栄養がいただけるということです。

C 食べ方を考える
・よく噛んで食べる。唾液は重要な酵素。排泄機能、免疫機能が高まります。
・なるべく毎日の食事の時間を同じにする。食べたり食べなかったり、時には大食いしたりすることは、体にとって負担が大きいことです。
・楽しんで、感謝して食事をする。家族や友人と楽しんで食事をすると、同じ食事でも何倍にもおいしく感じられます。食事、食養で一番大切なことだと思います。
日本人は食事をするとき、いただきますと言います。食べ物は命で、命をいただくと言う意味です。

食養は、毎日の自分の食事、食材への関心、食べ方から、自分の体の健康を見つめることを教えてくれます。自分の体を見つめると、心が養われ、心が養われると、人、土地、地域、自分に関わるまわりのすべてに感謝の気持ちが生まれてきます。
それが私の考える食養です。

次回は皮膚からの健康法です。

鍼灸師・整体師・気功師・医療法人福徳栄会理事・上海専家医学研究中心客員教授 八巻滋倶(やまきしげみ)
監修

八巻滋倶(やまきしげみ)


鍼灸師・整体師・気功師・医療法人福徳栄会理事・上海専家医学研究中心客員教授
北海道札幌市出身。治療家として多くの患者の診察する一方で、オリンピックメダリストのメンタルトレーニングやボディケア、大手健康器具メーカーや病院での講演、上海交通大学での講義なども行ってきた。約10年前からは、健康講座を全国各地で開催し、8,000人以上に講習をしてきている。また、薬石を使用したジェル「マイクロウオーターシリーズ」を開発し、皮膚からの健康法を推奨している。