健康を左右するリンパ系
今回は、リンパ系のお話です。
私は体の外、皮膚から体を健康にすることの有効性を唱えてきています。皮膚からの丁度良い心地よい刺激は、脳に伝わり、体の自律神経、ホルモン、あらゆる臓器、細胞などへ、瞬時に伝達されそれぞれの働きを活性化します。皮膚と密接な体の働きの1つ「リンパ」も重要と捉え、リンパケアを推奨しています。
「リンパ」とはどういう働きをしているのかというと、排泄作用と免疫作用を担っています。
●リンパの排泄作用
体の中には血管とリンパ管が循環しています。血管は動脈と静脈で成り立っていて、動脈は心臓、肺を通り体中に酸素と栄養を運び、静脈は細胞から排泄された体の中の老廃物と二酸化炭素を回収し心臓、肺へ戻ります。その静脈と同じように体の中の老廃物を回収しているのがリンパ管です。
リンパ管は静脈が回収できない水分や老廃物、死んだ細菌、脂肪を回収し、リンパ節で処理します。そのためリンパ管は細かい網目状で体中に分布して、管の中を流れる水分や老廃物が逆流しないように弁があります。回収したものをリンパ節でろ過し処理してまた体の中へ戻しています。リンパ液がリンパ節を通るたびにリンパ球が増えていきます。リンパ節は顎、鎖骨、腋の下、ソケイ部など可動の大きな関節の辺りに、そら豆のような形で大小さまざまな大きさで、体の中に約600個から800個点在しています。リンパ管は体の浅い場所、皮膚のすぐ下と各臓器外膜に多く分布しています。血管のように弾力が無く、強く押す、擦ることは効果が半減してしてしまいますので、ゆっくりやさしい皮膚刺激が有効です。
リンパドレナージュ、リンパマッサージは、皮膚をやさしく擦り刺激することでリンパの流れを促進し、体の余分な水分や老廃物をいち早く排泄させることに有効な施術となるのは、リンパの作用を利用していることなのです。
●リンパの免疫作用
そのリンパ管の中を流れているリンパ液は、リンパ管に流れ込んだ組織液のことで、血液中の血漿に同じ無色透明の液体で、白血球の一種であるリンパ球が含まれています。
リンパ球には細菌やウイルスを攻撃する生体防御のための抗体を産出する能力があります。傷ついた細胞を体から排除し、感染症やがんが広がるのを防ぐという重要な機能も果たしています。
リンパは筋肉の収縮や運動、呼吸、腸の蠕動運動、皮膚のマッサージによって流れが促進されます。
私が皮膚からの健康法を唱えている理由はここにもあります。植物も動物も生き物はすべて刺激を得て生命が成り立っています。その丁度良いソフトな刺激が健康な体を作ることに有効だと知っていただきたいと思います。
次回は神経(電気反応)のお話。
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八巻滋倶(やまきしげみ)
鍼灸師・整体師・気功師・医療法人福徳栄会理事・上海専家医学研究中心客員教授