八巻滋倶(やまきしげみ) 特別連載コラム 予防医学のすすめ〜今私たちができること〜 うつ病の対策法

うつ病の対策法


今回は、うつ病症状の対策方法をお伝えします。
身近にある毎日できることに対策する方法があります。

@ 呼吸
A 食事

日常生活の中で自律神経をコントロールできるのは、呼吸です。呼吸は、止めてみたり、早くしてみたり、ゆっくりしてみたり、やさしくしてみたり、力強くしてみたり、自由に自分でコントロールできる唯一の器官です。 他の器官は、自動的に作用していますのでコントロールできません。例えば心臓の鼓動を意識的に止めたり、早くしたり出来ません。
 うつ症状の人は、呼吸が浅く、速い人が多いのです。いつも仕事に追われているような感じや、忘れ物をしてしまったような感じ、気持ちが落ち着かず胸苦しさを感じて日々時間を過ごしています。
そのような感じを取り除くには、正しい呼吸法をすることです。お母さんから生まれてきたときに「おぎゃー」と声を出し息を吐いて生まれてきます。息を吸って生まれてきてはいません。これが呼吸の原点で、吐くことにだけ意識をすると、吐ききったときに自然に吸います。息を吸ったまま止めてしまうことが問題なのです。そのことが呼吸のリズムを乱し、息苦しさを感じて、ついため息をつき、呼吸のリズムを取り戻そうと無意識に行なっているのです。

うつ症状の呼吸法は、鼻から呼吸をすること。うっかりすると口で呼吸をしている場合が多いのです。いつも自分の呼吸が「鼻で呼吸をしている」か確認すること、思い出す癖をつけることが大切です。通常健康な人は1分間に18回くらいの呼吸が理想ですが、うつ症状の場合は、1分間に20回以上行なっている場合があります。浅い呼吸なので回数でこなして体に酸素を取り入れようとしてしまいます。どうしても辛いときは、あえて1分間に10回から12回くらいのゆったりした深い呼吸を行なって下さい。

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うつ症状を改善するの呼吸法。深いゆったりしたリズムで鼻で呼吸する。

その次の対策法は食事です。
大食い、早食いが、余計に胸苦しくなります。食事は、消化の良いものをゆっくり噛んで、腹八分。たくさん食べる事がなぜ、うつ症状に良くないのかと言うと、食べ物が胃に入ると、横隔膜を押し上げて、肺や心臓の動くスペースを圧迫します。そのことによってますます呼吸がうまく出来なくなり、消化も悪くなり、お腹が硬く冷たくなってしまいます。お腹が硬く冷たくなると、腸内環境も良くありません。腸内の善玉菌が活躍できません。善玉菌が活躍できないということは、食べたものの栄養が充分に体に取り入れられなくなり、体の中の老廃物が排泄できなくなります。体を冷やすものも、腸内には良くありません。冷やすものは避けて下さい。本当に体を良くしていきたい、どうしても辛いのであれば、食事量を大きく減らすことです。

うつ症状を改善する食事法。一食の量を今の半分にして、消化の良いものを、良く噛んで時間をかけて食事をすることです。

呼吸と食事を整える事で、体の排泄能力が大きく高まり、体の中がきれいになる事で、頭の中、精神、心も排泄できるような自分に変ります。うつ症状は身近なことで自分で解決することが出来ると理解して下さい。自分で解決できると知ることが回復への一歩前進です。

次回は 食養生 です

鍼灸師・整体師・気功師・医療法人福徳栄会理事・上海専家医学研究中心客員教授 八巻滋倶(やまきしげみ)
監修

八巻滋倶(やまきしげみ)


鍼灸師・整体師・気功師・医療法人福徳栄会理事・上海専家医学研究中心客員教授
北海道札幌市出身。治療家として多くの患者の診察する一方で、オリンピックメダリストのメンタルトレーニングやボディケア、大手健康器具メーカーや病院での講演、上海交通大学での講義なども行ってきた。約10年前からは、健康講座を全国各地で開催し、8,000人以上に講習をしてきている。また、薬石を使用したジェル「マイクロウオーターシリーズ」を開発し、皮膚からの健康法を推奨している。