株式会社ロゴス 代表 金澤亜紀子 連載コラム これが賢いおうちの買い方、借り方、暮らし方 第3回「お部屋を借りる時の初期費用」

お部屋を借りる時の初期費用

前回は最適なお引っ越し時期についてお話しさせて頂きました。
お引っ越し時期を決めた次はご予算です。折角、『これだ!』という良い物件が見つかっても初期費用やご予算が合わずお見送りしてしまうことがないよう事前に準備が必要です。今回はそのお手伝いを少しでも出来ればと思いお話しさせて頂きます。

賃貸の初期費用
賃貸の初期費用(お部屋をお借りする際に最初にお支払いする総額です)は都道府県や市区町村で様々です。一般的にはお家賃の4ケ月分が目安と言われております。入居時にお支払いする費用項目で大まかに家賃、敷金、礼金、清掃料、火災保険料、保証会社費用、仲介手数料がございます。近年では家賃、敷金、礼金が0円のお部屋も増えてきております、初期費用を抑えて入居者を入れたいという家主さんの気持ちが表れているのがわかりますが、初期費用の中で抑えて得をする部分もあれば損をする場合がございますので各費用項目について触れていきたいと思います。

○家賃
通常家賃は先払いとなります。(例えば4月1日から入居するならば3月末までにお支払い)家賃で不動産業者への交渉依頼が多いのは2つ。入居時の前家賃を無料にしてほしい、月々の家賃を安くしてほしい。出来るかどうかは家主さん次第になりますので入居時に交渉依頼すること自体は有りだと思います。

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可能であれば得をしますが、ここで忘れてはいけないことは家主さんが入居を最終的に判断すること。家賃を払いたくない安くしたいという思いは家主さん目線だとあまり良くない印象を与えます、交渉をしたことで入居を断られてしまうこともございます。無理強いをしない程度の交渉が得になると思います。

○敷金
ほとんどの物件で入居時に必要です。敷金は家賃滞納や室内を不注意で汚したり壊したりしなければ大部分が退去時に戻ります。敷金は家主さんに預けているお金になる為、初期費用としてお支払いいただいても良い部分だと思います。退去時に修繕部分があれば敷金から充当してもらうことができるからです。逆に敷金0円で入居し退去時に修繕部分があったり、退去時に清算すると決まっている費用があったりする場合は退去時費用が大きくなる可能性がございます。敷金は利息の付かない定期預金のようなものなのでお預けいただくことで、次の転居の際の予算の幅も広がる可能性もございます。

○礼金
札幌では、新築物件に必要なケースが多く、それ以外の物件ではあまり発生しない費用です。入居させてくれてありがとうという家主さんへのお礼のお金といった性質の費用です。返金されないお金になる為、初期費用を抑えたい場合は礼金のかからない物件をお探しする事をお薦めいたします。ただし礼金のかかる物件は多くが新築物件とお伝えした通り家主さんが礼金をいただいてもいいと判断したお部屋、すなわちお部屋の質が高いという可能性もございます。初期費用を抑えたいと思う一心で質の高いお部屋を逃していることにもなります。ご予算にもよりますがより良い質の高いお部屋を探す方には必要な費用かもしれません。また、ペットを飼われているかたはペット飼育可能物件において「ペット礼金」という名目の費用が発生します。

○清掃料
金額は管理会社によって違いはございますが、1DKや1LDKの単身者向け物件ですと2万円前後が相場です。退去時に清掃をする費用になります、家主さんによっては退去時払いが可能になるケースがございますので初期費用を抑える場合は交渉で退去時払いをお願いするのも有りです。ただし入居時退去時のどちらかで必ずお支払いすることになる為、損得は特にございません。ご予算と相談するのが望ましい費用と思います。
補足ですが札幌で灯油FF暖房器具が設置しているお部屋の場合、退去時にFF分解整備料という退去時費用がございます。次の入居者の方の為に退去後、暖房器具の整備にかかる費用です。金額はこれも管理会社によりますが2万5千円程度が相場です。先ほどの清掃料と合算すると4万5千円の退去時支払いになる為、退去時が高額になってしまいます。入居時の初期費用をお安くしたとしても退去時に請求される費目が多ければそこにお得感はありません。

○火災保険料
保険料はすべての賃貸物件で必ずお支払いする費用です。お部屋で水漏れがあった場合や火災があった場合等に必要だからです。保険をかけておかなければ契約しているお部屋で不測の事態で何かがあった場合、契約者が全額をご負担することになってしまいます。またキャンペーン等で火災保険料を家主さんにご負担いただける物件もございます。

○保証会社費用
連帯保証人さんがいらっしゃらない場合や物件によっては保証人さんの有無に関わらず必須で利用する保証会社の委託料です。金額は保証会社によって違いますがおおよそ賃料総額の50%が目安です。敷金と違い返金のない費用の為、初期費用を抑えたい場合は連帯保証人さんのみで借りられるお部屋を探すしかありません。また、保証会社を利用するとほとんどの会社は年単位で更新料が必要になります。保証会社はいくつもございますが、管理会社によって指定業者があり、費用も異なりますので事前にお部屋を探している不動産業者にご確認を頂く方がよいと思います。

上記でも記載させていただきましたが、お部屋の入居のタイミングによってはキャンペーンで通常より初期費用が安くなっている物件もありますし、弊社も含めて仲介手数料を無料にさせていただいている不動産業者もございます。

初期費用は0円から家賃の数か月分まで様々ですが、費用を安く抑えたい方はその時の旬な物件を、色々な物件から良いお部屋を選びたい方はある程度初期費用に余裕を持って探していただけますとお客様にとっての良いお部屋に出会えると思います。そして大切なことは不動産業者から初期費用についてしっかり説明を受けてご納得いただいてお支払いいただくことです。
交渉が可能な費用も業者によっては交渉してもらえていないケースもありますし、お客様からの希望がある前に事前にある程度確認をとって安く抑えてくれる業者もございます。まずは、お客様のご要望を不動産業者にお伝えいただいて信頼できる業者でお部屋をお探しいただくのがよろしいかと思います。


株式会社ロゴス 代表取締役 金澤 亜紀子
監修
株式会社ロゴス
代表取締役

金澤 亜紀子

大手不動産会社に勤務後、2015年株式会社 ロゴスを設立。戸建て・マンション・収益物件など、様々な不動産に関する案件を幅広く手がける。地元ハウスメーカーとのコラボレーションイベントも定期的に開催し、特にライフスタイルに合わせた住宅提案は評判。不動産ことで迷ったら「まず彼女に相談」という方も多く、不動産を活用した資産運用も多数手がける。