サロン・ド・テーブルUmemoto 代表 梅本 光江 連載コラム 暮らしを彩るWatashiiro 第30回 〜山ブドウに魅せられて〜

〜山ブドウに魅せられて〜

娘たちが小さかった頃、お休みの日にはきまって野山にドライブ! 春はカタクリ・エゾエンゴサクの花、夏は木苺・目を凝らしてやっと見つけたホップのツル、秋は栗やどんぐりの実、そしてよく晴れた冬の夜はたくさん着込み、ホットドリンク持参で星の観察。なんだか絵本の世界みたいに感じられるかもしれませんね。 当時住んでいたのは大自然がいっぱい、札幌から北に140qほどの旭川市にいましたので特別なことではなく、どれもこれも家族のみんなが大好きな冒険・探検の世界でした。なかでも、秋の山ブドウの収穫は子供たちよりも私のほうが大はしゃぎ。サクサクと音のする山道や田畑のわき道を入っていくと大きな背の高い山ブドウの木が落葉やブナの木の間から現れるのです。美味しそうでツヤツヤの黒い実をいっぱいつけて.... それを上手に引っ張り出して素敵でかわいい山ブドウのリースを作るのがうれしくてうれしくて。子供たちも小さなスワッグやリースのような飾り物をつくって楽しんでいました。

こうして持ち帰った山ブドウは勿論玄関のドアに飾るのですが、それだけでは終わらないのも素敵でした!なぜって、お砂糖や焼酎を加えて果実酒やシロップ、ジャムづくりをするのも最高の楽しみでしたから。本当においしくて、山のクマや鳥たちが冬の前に食べるのがわかるような気がしました。

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そんな遠い思い出はたくさんありますが、こっくりと深いブドウの色は本当に美しく,日本人が好む草木の色。古くから染め物の原料にも使われてたようです。調べてみるとブドウ色は漢字では“葡萄“そして古名が”エビ”というそうです。この”エビ”は植物の“エビヅル”の事だそう。和名や染色の名前でこのように葡萄で染めた赤紫色が“えびいろ”と呼ばれるのにはこんな意味があるんですって!!

そろそろ近郊の野山も緑が少しづつ黄色や赤に染まり始め私の大好きな季節に入ります。 何とも言えない自然の美しさ。それをちょっとだけいただいて、少しいびつな個性あるリース。今年も秋色の素敵なツルウメの木や山ブドウのツルをさがして飾りたいと夢の時間をワクワクしながら予定表とにらめっこしています。雪がふわふわと舞い散ってくる前のとっておきの秋日和.....秋の野山で思いっきり楽しみたいですね。

サロン・ド・テーブルUmemoto 代表 梅本 光江
監修
サロン・ド・テーブルUmemoto
代表 

梅本 光江

学生の頃から花の美しさに魅せられ華道を学ぶ。
その後、ヨーロッパのフラワーアレンジメントやテーブルコーディネートに関心を持つようになり、インストラクターを取得。
現在、札幌で唯一のお花・お料理・テーブルセッティングを中心としたおもてなしとマナー教室、そしてプリザーブドフラワーの教室を開講。その他、ギフトやウエディングブーケ、ディスプレイなども手がけている。